モバイルバッテリーに求める機能が増えている……
ふとモバイルバッテリーの歴史を調べてみたところ、日本での走りとなった三洋電機(今はPanasonic)のeneloopモバイルブースターが2007年のこと(モバイルバッテリーのことを「モバブ」と略している人がいるのはコレが発祥)。
※ここから回想長めです。製品レビューを早く読みたい方は読み飛ばしてください。
2008年にはiPhone 3Gが登場、スマートフォンの普及とともにモバイルバッテリーの需要が高まっていきます。eneloopモバイルブースターのような充電式電池もありましたが、乾電池で動くモバイルバッテリーも多かった時代です。
2011年にはAnkerが創業し、さまざまな周辺機器が出てくる中で、徐々に「モバイルバッテリーならAnker」が広がっていきます。
2011年ごろにPQIのモバイルバッテリーのレビューを書いていましたが、わずか1,050mAhと、今から考えると一瞬で終わりそうな容量です。スマホのバッテリーも現在から比べるとずいぶん少なかったので、これでも十分に賄えていたんですね。

2013年ごろにはLightningケーブルを内蔵したモバイルバッテリーが存在しました。中身は三洋電機製でした。この頃にはかなり珍しかった製品です。

2015年ごろには、ACプラグを内蔵したモバイルバッテリーも存在していました。Panasonicの製品です。旅先でACアダプタを忘れて、初代12インチ MacBook(USB-Cを初搭載したMac)をこれで充電したのを思い出します。めちゃくちゃ遅かった。

この数年後にAnkerからPowerCore Fusion 5000が発売されて、大人気になったんですよね。PanasonicのQE-AL201は、コンセプトとしては先取りしすぎたのかもしれません。
2016年ごろ、Qiワイヤレス充電機能を持ったモバイルバッテリーが登場しました。iPhone初のQiワイヤレス充電を可能にしたiPhone XやiPhone 8の登場は2017年9月でした。

さらに、Apple Watchを充電できる製品が登場したり、USB PDによる急速充電が可能になったり、モバイルバッテリーは着々と進化を遂げていきました。
そして2021年、パーフェクトな機能を持ったモバイルバッテリーが登場しました。これ一つでほぼ完結してしまうのでは無いかと思えるほど、完全無欠なスペックです。
MagSafeも使えてApple Watchも充電できるモバイルバッテリー
Makuakeで応援購入が可能だったのが、CIOのハイブリッドモバイルバッテリー「CIO-MB20W-5000-MAS」です。容量は5,000mAhと、スマートフォン1台分の標準的な容量のバッテリーですが、機能面で見るべき点が満載です。

CIO-MB20W-5000-MASは2021年にMakuakeで応援購入が実施され、5,148人の支援があり、総額2,740万円を集めたという大人気プロジェクトです。(株式会社CIOは大阪府守口市に本社を置く日本企業です)
その後、一般販売が開始され、Amazonや楽天市場で購入することが可能になりました。楽天市場の「machino omise(町のお店)」はCIOの公式ストアです。

今回はMakuakeで入手した製品をレビューしていきましょう。
ハイブリッドワイヤレスバッテリー CIO-MB20W-5000-MASをレビュー
こちらがCIO-MB20W-5000-MASのパッケージです。ホワイトを基調として、パーブルをキーカラーにしたシンプルなデザインです。

パッケージ側面には「マグネット充電対応」「Apple Watch充電対応」「スタンド付き」という、バッテリー以外の特徴が明示されています。

内容物は、取扱説明書とCIO-MB20W-5000-MASバッテリー本体、USBケーブルが含まれています。

CIO-MB20W-5000-MAS自体は、片手に収まるコンパクトサイズです。正面にはCIOのロゴがエンボス処理されており、下部にはスタンドが内蔵されています。

背面には円形のパーツがあり、ワイヤレス充電位置の目印になっています。

底面には、スタートスイッチ、受給電用のUSB-Cポート、残量LEDが並びます。

iPhone 12シリーズ以降に搭載されたMagSafeで吸着するので、ケーブル不要でワイヤレス充電が可能です。(ただし「MagSafe充電」ではないので、7.5Wの急速充電になります)

ここで使用しているのは、MagSafe対応ケースとしては最軽量級のPITAKAのMagEZ Case 2です。

MagSafe非対応のケースや、薄型のケースでは磁力が弱く吸着しません。iPhoneにケースを装着しない or MagSafe対応ケースを装着するようにしましょう。
前モデルより安定感が増したキックスタンド!
第一印象で気になったのは、シルバーのパーツで作られたキックスタンドです。スタンド自体はバッテリーケースに収納されてフラットになっていますが、爪をかけて取り出せるよう、凹みが付けられています。

少し強めに引き出すことができます。収納するときはパタン、と勢いよく閉じます。

さて、見出しに「前モデル」と書いたので、何のこと?と思われたかもしれません。CIO-MB20W-5000-MASには前身となる製品が存在します。CIO-MB5000-MAG(写真左)です。

CIO-MB5000-MAGは、MagSafeで吸着するワイヤレスバッテリーとして、iPhone 12シリーズの発売後に登場しました。他社製品がほとんど存在しない時期で、かなり早いスピードで開発されたようです。重宝しました。当時のレビュー記事はこちら。

重量を見ていきましょう。前モデルにあたるCIO-MB5000-MAGは、133.9g。

CIO-MB20W-5000-MASは149.3gと、やや重くなりまし。ただし、Apple Watchの充電ができたり、一般的なQiワイヤレス充電がサポートされています。

CIO-MB5000-MAG(写真左)は薄くコンパクトなモバイルバッテリーですが、キックスタンド部分が出っぱっていることに加え、スタンドそのものの作りがヤワでした。

その点、CIO-MB20W-5000-MASはスマートに収納でき、剛性も十分に確保されています。iPhoneを横向きにして、充電しながらランドスケープモードで立てることができます。

キックスタンドの剛性を気にしているのは、前モデルでは縦向き、ポートレートモードで立てることができなかったからです。CIO-MB20W-5000-MASは縦向きにしても、安定してiPhoneを立てることができます。

iPhoneを縦向きに立てたいシチュエーションって意外と多いので、どちらの向きでも安定して使えるのは、助かります。
ワイヤレスでも有線でも!デバイスに合わせた充電方法が選べる
CIO-MB20W-5000-MASは、iPhoneをMagSafeで吸着してワイヤレス充電できるほか、Qiワイヤレス充電に対応したデバイス、たとえば完全ワイヤレスイヤホンを充電することもできます。

NOTHING ear(1)は、トランスルーセントな完全ワイヤレスイヤホンで、これまでのイヤホンのイメージを覆すデザインです。そのデザインに見合うように音も綺麗で、オススメです!

USB-C to USB-Cケーブルを使えば、従来のモバイルバッテリー同様に充電も行えます。

USB PDに対応しているので、MacBook Airへの給電も行えます。

macOSのシステム情報を見てみると、20WのACアダプターとして認識されていました。

そして、CIO-MB20W-5000-MASの最大の特徴は、Apple Watchも充電できること。Apple Watchの充電には専用のケーブルが必要でしたが、本製品はそのまま充電することができます。

例えば、旅先でビジネスホテルに泊まると、客室にUSBポートがあることは珍しくなく、フロントでLightningケーブルを借りれたりするので、iPhoneの充電には意外と困りません。しかし、Apple Watchの充電ケーブルを用意しているホテルはあまり聞いたことがありません。(あるんですかね?)
そして、CIO-MB20W-5000-MASは2台同時充電もできます。iPhoneをMagSafeで吸着させてワイヤレス充電しつつ、iPad Proをケーブルで充電させられます。

また、USB-ACアダプターを使ってコンセントに挿せば、iPhoneを充電して、それからバッテリーを充電することも可能です。

上の写真で使用しているUSB-ACアダプターはベルキン製のものです。板ガムのケースのようなスリムさで、手軽に使える魅力があります。

CIO-MB20W-5000-MASのまとめ
CIO-MB20W-5000-MASは、デザインや機能性も十分で、その上「全部入り」という魅力的な製品です。Apple WatchとiPhone 12シリーズ以降を使っているなら、強くオススメしたいモバイルバッテリーです。
